安乗の人形芝居(令和6年)

安乗の人形芝居(令和6年)

令和6年9月14日(土)・15日(日)に、安乗人形芝居舞台(安乗神社境内)で、国の重要無形民俗文化財に指定されている伝統芸能『安乗人形芝居』が上演されます。

安乗の人形芝居の歴史

 志摩市の『安乗の人形芝居』は安乗神社の祭礼に奉納する神賬の人形芝居として受け継がれてきた民俗伝承芸能で、昭和55年に国の重要無形民俗文化財に指定されました。

 人形芝居の発祥としましては、次のように言い伝えられています。

 「文禄元年、志摩の国の国主九鬼嘉隆が、豊臣秀吉の朝鮮出兵(文禄の役)に参加する際、安乗沖にさしかかると急に逆風が吹いて船が止まってしまいました。嘉隆が安乗神社に参拝し戦勝を祈願したところ、風向きが変わり船は追風に乗って無事出航する事ができました。そして、戦役で武功をたてた嘉隆が、再び安乗神社に御礼参りに訪れたところ、村民は手踊りや種々の芸能で大歓迎をしました。」

 このときに嘉隆から許された芸能が、幾多の変遷を経て安乗の人形芝居として伝承されています。

 大正末期の不況と昭和の戦争により一時中断しましたが、昭和26年村民の願いと協力により復興し現在に至っています。

詳細

開催日時令和6年9月14日(土)・15日(日)
午後6時30分開演
※午後5時から三番叟上演
開催場所安乗人形芝居舞台(安乗神社境内)
主催安乗神社・安乗人形芝居保存会

安乗の人形芝居番組

9月14日(土曜日)午後5時 安乗神社奉納三番叟上演

9月14日午後6時30開演
*幕間に舞踊があります。

一、鎌倉三代記
三浦之助母別れの段

遣い手・語り・三味線

東海中学校郷土芸能クラブ

一、生写朝顔話
大井川の段

遣い手

安乗人形芝居保存会

太夫

長野紫寿

三味線

竹本友和嘉

一、壺坂観音霊験記
沢市山の段

遣い手

安乗人形芝居保存会

太夫

長野紫寿

三味線

竹本友和嘉

9月15日(日曜日)午後5時 安乗神社奉納三番叟上演

9月15日午後6時30分開演
*幕間に舞踊があります。

一、伊達娘恋緋鹿子
火の見櫓の段

遣い手

安乗人形芝居保存会

太夫

長野紫寿

三味線

竹本友和嘉

一、傾城阿波の鳴門
巡礼歌の段

遣い手

安乗人形芝居保存会

太夫

佐中かをり

三味線

竹本友和嘉

一、傾城阿波の鳴門
十郎兵衛住家の段

遣い手

安乗人形芝居保存会

太夫

佐中かをり

三味線

竹本友和嘉

9月14日

鎌倉三代記

〜三浦之助母別れの段〜

 三浦之助は戦場で負傷し、病気の母の顔見たさに戻ると、敵方の大将北条時政の娘時姫が看病にきていました。時姫の介抱で正気を取り戻した三浦之助は一目母親に会おうとしますが、戦場より三浦之助が戻ったと知った母親は「我が子には忠義を大切にするよう教えた。そんな未練がましい事をする子ではない。」と顔を合わせず口説きます。母親の思いに気付いた三浦之助は再び戦場へ行こうとするのでした。

 死を覚悟した三浦之助に、時姫は自らの愛の深さを語り、母の最後を看取ってほしいと引きとめます。母と時姫の間で三浦之助は迷いに迷うのでした。

生写朝顔話

~大井川の段~

阿曾次郎は暴漢から武家の娘・深雪を救い、お互い一目惚れで恋仲になります。次郎は深雪に乞われて扇に朝顔の歌を書き、深雪も次郎に和歌を贈ります。しかし、阿曾次郎はお家騒動を阻止すべく故郷の周防へ急いで戻ることになります。一方、別れを悲しむ深雪もまた安芸に両親に連れられて帰っていきます。恋人を慕って泣き暮らしているうちに盲目となった深雪が、朝顔とよばれる芸人となり、当の恋人の前で琴に合わせて身の上話を語ります。翌朝、駒沢と名乗るその男が残した扇を見た深雪は、恋人(阿曽次郎)であるとわかって、駒沢のあとを追いかけて大井川へ向かいます。駒沢はすでに渡ったあとで大雨で川留め。絶望する深雪は川に身を投げようとしますが、そこへ宿の主人が追いついて深雪を止めます。宿の主人は実は深雪の乳母の父親で、むかし深雪に家に仕えていました。甲子歳生まれの自分の生き血で深雪の目を治せるといって自害します。そのおかげで深雪の目は治ります。

壺坂観音霊驗記

〜沢市山の段〜

 大和国壺坂に住む盲目の沢市は、女房お里の内職のかせぎで、細々と暮らしていました。沢市は近頃お里が毎晩家を空けることに気付いて、お里が不義をはたらいているのではないかと疑います。しかし、実は沢市の目が治るように、壷坂寺に願掛けに行っていたのだと知ります。沢市は女房を疑ったことを詫び、お里の勧めるままに壺坂寺へお参りすることにしましたが、自分と暮らしていてもお里は幸せにはなれないと絶望し、谷に身を投げてしまいます。後を追ってお里も身を投げますが、観音様のご利益で二人の命は救われ、沢市の目も見えるようになるのでした。


九月十五日

伊達娘恋緋鹿子

〜火の見櫓の段〜

 近江の国高島家の若殿左門之助が、禁裏へ献上する天国の剣を紛失したため、お守役の安森源次兵衛は切腹しました。

 江戸吉祥院の寺小姓となって剣を探す安森の一子吉三郎は、家事で焼け出された八百屋の久兵衛の娘お七と恋仲となっています。お七は恋人の吉三郎が切腹しなければならない原因となった天国の剣の所在を、今宵中に知らせたいとあせります。

 思いあぐねて町々の木戸を開くために、火あぶりの刑を覚悟で禁制の火の見櫓の半鐘をうち鳴らすのでした。

傾城阿波の鳴門

~巡礼歌の段~

 十郎兵衛・お弓の夫婦は、徳島の玉木家の家宝の刀を探すため、大阪に住み、十郎兵衛は盗賊の仲間に入っていました。お弓が留守番をしているところに手紙が届きました。追っ手が迫っているとの仲間からのものでした。お弓が夫の無事と刀の発見を祈って神仏に願をかけているところに、巡礼の娘が訪れます。国許に残してきた自分の娘と同じ年頃なので、話を聞いてみると両親を探して徳島からはるばる旅をしてきたという身の上を語ります。両親の名前を聞いてみると間違いなく自分の娘であることがわかりました。今すぐ抱きしめ母と名乗りたい思いを抑え、盗賊の罪が娘に及ぶことを恐れて、国へ帰るように諭します。そしてこのままここにおいて欲しいと頼むおつるを、お弓は泣く泣く追い返します。おつるの歌う順礼歌が遠のくと、お弓はこらえきれずに泣き崩れるのでした。しかし、このまま別れてはもう会えないと思い直し、急いでおつるの後をおいます。

傾城阿波の鳴門

〜十郎兵衛住家の段〜

 十郎兵衛がおつるを連れて帰ってきます。わが娘とは知らず、おつるの持っている金に目をつけ、貸してくれと頼みます。怯えたおつるが騒ぐのを止めようとして、誤って窒息死させてしまいます。おつるを見失ってしまい、家に戻ったお弓は、このことを知り、涙にくれ、わが子を殺してしまった十郎兵衛も後悔の涙にむせぶのでした。嘆きのうちにも捕手の迫る気配に十郎兵衛は覚悟を決め、捕手を追い散らすと、おつるの死骸もろともに我が家に火を放ち落ち延びるのでした。

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